湯沢市でゲリラ豪雨？（追記あり）
誘われていたのだけれど、参加できなかった。成瀬ダムの検討の場が秋田市で開かれたのである。「第1回成瀬ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」。参加といっても会合を傍聴するしかできないのだが。
成瀬ダムと鳥海ダム、「検討の場」初会合 首長ら早期完成求める
国土交通省東北地方整備局は１７日、成瀬ダム（東成瀬村）と鳥海ダム（由利本荘市）の建設の是非を検証するため、県や関係市町村から意見を聴く「検討の場」の初会合を開いた。建設推進の立場を取る県や関係市町村からは早期完成を求める意見が相次いだ。
東北地方整備局によると、検証ではダム以外の治水案、利水案をつくり、コストを最重要視してダムと比較する。検討の場で議論するほか、住民からも意見を公募。同整備局が対応方針を決めた上で、国交相が有識者会議の意見を聴いて最終決定する。
秋田市で開かれた成瀬ダムの検討の場初会合で、佐竹敬久知事は「水をストックするためにダムは欠かせない。速やかに完成させるのが筋だ」と強調。五十嵐忠悦横手市長も「利水の観点から、ダムを建設するのがベターだ」と語った。由利本荘市であった鳥海ダムの初会合では、長谷部誠市長が「ダム建設は由利本荘市民の悲願。治水、利水の両面からも必要だ」と訴えた。
http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20101118h
出席したのは、秋田県・秋田市・横手市・湯沢市・大仙市・羽後町・東成瀬村・国土交通省・東北地方整備局の首長や責任者。つまりダム建設を一貫して推進してきた側だ。ダムに反対する人はひとりもいない。絵に描いたようなお手盛りの会議なのである。
したがって「早期完成を求める意見」で占められるのは当然のなりゆき。今後は「住民からも意見を公募」とのことだが、どこまでわれわれの声を聞き入れてくれるか。
朝日新聞秋田版の記事には、湯沢市長の意見としてこんな記述も。
湯沢市の斉藤光喜市長は、「ゲリラ豪雨で被害が発生するなど、市民からは洪水の不安を解消してほしいとの声がある。（ダムによる洪水防止の）必要性を感じている」と治水面から意見を述べた。
ヒートアイランド現象に起因する都市型洪水をもたらすゲリラ豪雨が、森林と田んぼの多い湯沢市で発生したとは初耳だ。しかも被害があったとは。ゲリラ豪雨による水害が起こるとすれば、雄物川や皆瀬川ではなく、その支流の沢の鉄砲水だろう。多くは砂防ダムでガチガチに固められたはずだが、いつ、どこで被害が発生したのだろう。秋田市などの「都市」ならまだわかるが。
それにしても、斉藤さんは学生時代、ワンゲル部に所属していたと聞いた。大自然をいろどる渓谷美を知りぬいているはずの人も、このような心無いことを言わざるをえなかった事情はなにか…。
ここんとこ、八ッ場ダムの雲行きが怪しくなってきて、保坂展人さんは悲観的な憶測をツイッターで述べていたが、八ッ場ダムよりもはるかに費用対効果の低い成瀬ダムですら、建設へ向けて加速することになるのだろうか。
追記（11月30日）
毎日webでもけっこう詳しく報じていたのを今さら知ったので、せっかくだから貼っておきます。
成瀬ダム建設：「必要」意見相次ぐ 整備局会議で自治体代表 ／秋田
国土交通省東北地方整備局は１７日、国直轄の成瀬ダム（東成瀬村）の建設事業について自治体を交えた「検討の場」の初会合を開催。出席した自治体代表からはダムの必要性を訴える意見が相次いだ。
“脱ダム”を掲げた民主党政権の発足後、同省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」による９月の中間取りまとめを受けて開催。成瀬ダムを巡っては同整備局が主体となり、ダムを建設しない治水策を立案してダム事業と比較検討する。
この日参加した自治体は、県▽秋田市▽湯沢市▽横手市▽大仙市▽羽後町▽東成瀬村。まず事務局側が検討手順の概要について説明した。
出席者は「豪雨時の洪水、河川のはんらんやゲリラ豪雨に対する調整機能を十分果たすと思う。一刻も早く完成を」（羽後町・佐藤孝治副町長）「南外、西仙北地区では良質な水源が確保できていない。このまま建設が中止になると大変なことになる」（大仙市・久米正雄副市長）などと事業推進を求めた。
同局によると年度内に代替案の検討に取りかかり、途中で２回の意見募集を予定している。
会議を傍聴した「成瀬ダムをストップさせる会」の奥州光吉代表は「関係する自治体だけの検証で、このままだとダムが必要だという結論になる印象。意見募集の際に我々も積極的に考えを述べていく」と話した。
http://mainichi.jp/area/akita/news/20101118ddlk05010007000c.html
太字にしたところに注意。山奥、深山に造られたダムが、ゲリラ豪雨に威力を発揮するとマジで考えてるのでしょうか？
