健康だけがとりえだったのに

 昔から――20歳代後半あたりから、よく「見た目が若い」と言われてた。実際わたしは童顔だ。ぼっちゃんガオと言ったほうがいいかも。

 若さのヒケツなんて聞かれたことはないが、森の中に足繁く入っているから、森の精霊が若さを注入してくれているものと勝手に思っていた。まあ単に新陳代謝が旺盛なだけだろうけど。

 それが、ここ3年ばかり、ぱたっと山野に入らなくなった。拙著の出版後のことだ。

 わたしに若さをくれていた森の精と、接触しなくなった。

 40すぎて、体力と容姿の衰えが、急激に進んでいるような気がする。

 春は山菜取りに野草の観察、夏は釣りに沢歩き、秋はキノコ取りに登山、冬はクロカン。バードウォッチングは、ほぼオールシーズンだ。

 いずれも、ほとんどまったくやらなくなった。

 朝起きたとき、裸になって乾布摩擦を日課にしているが、肌の潤いが無くなってきているのに気づいた。もともと感想肌ではあるが。

 鏡をみると…おっさんやねえ。目の下に隈が出たり消えたり。

 体型。8年前の写真と見比べてえらい違いに苦笑するばかり。体重は5キロ程度しか違わないはずなのにね。

 きょう、二週間ちょいぶりに呼吸器内科へ行った。どっさり薬をもらってきた。

 咳どめのほか、胸焼けを訴えたらそれの薬と、痔が悪化したといったらこれまた軟膏ももらってしまった。

 俺がこんな、クスリ漬けになるとはねえ。

 これまで大病しらず。健康だけがとりえだったのに。

 ま、咳や痔や胸焼けが大病のうちに入るわけないだろうが。