心のメンテ

雪渓浮かぶ昭和湖


 ここんとこ、どうも心が荒んでいる。

 私のメンタル面がおかしくなっては、人類にとって重大な損失を招きかねないので、すこしメンテナンスすることにした。栗駒山中腹の須川温泉へ行ってきた。

 おととし6月の大地震で、国道342号は岩手県側がずっと通行止めであった。それが、5月30日にようやく開通となり、当日は大にぎわいだったらしい。

 となれば土日は避けた方がよろしい。平日のきょう、一か月ぶりで須川を訪れた。道中、下がりフジの紫に、淡いピンクのイワシバナ(タニウツギ)、遅いコブシを横目に車をとばし、須川高原はすばらしい天気。

 月曜だし、大して混み合ってないだろうと思ったら、須川高原温泉は休日なみの活気で駐車場はすでに半分ちかく埋まっていた。ちょっと驚いた。大広間は日帰り客で昼前にはほぼ埋まってしまったのであった。

 天気もいいし寒くないし風もないので、きょうは湯治にもってこいだったのだろう。田植えなどの農繁期も過ぎたことだしね。

 さて、心のメンテは昭和湖まで軽登山。

 宿におふくろを残し、ひさびさにトレッキングシューズを履く。須川温泉周辺はカッコウが元気に鳴き、中腹のお花畑はオオルリの澄み切った声。雪渓の残る沢筋にはミソサザイが目の覚めるような美声を響かせ、目的地の昭和湖で、ここでは初めて聴くルリビタキの声が。

 ウグイスやヒガラも確認し、山の野鳥の声を堪能する。ビンズイだけは会えなかったが。

 登山道にはショウジョウバカマが今ごろ咲いていて、ガクアジサイの白さやタテヤマリンドウの可愛らしさに見とれた。

 亜高山は寒かろうと思ってラガーシャツも持参してたけど、Tシャツ一枚で十分であった。可能なら栗駒山山頂まで行きたかったけれど、そこまで時間も準備もできていない。名残り惜しくもそのまま戻る。

 宿では硫黄かぐわしい強酸性泉に体を癒し、地ビール(いわて蔵ビール)をあおって、荒んだ心を浄化させた。

 帰路はおふくろがねだったので、タケノコ(ネマガリタケチシマザサ)を数本採取し、コルリヤブサメの声に耳をすませる。

 終日、いい天気だった。