飛翔体ですか

 北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国)から発射された「飛翔体」が、わが郷里の秋田県上空を通過し、となりの岩手県上空をも飛び越え、太平洋上へ抜けていったのは、ついきのうのお昼ころ。

 ラジオで聞いていましたが、あっという間だったようです。弾道ミサイルテポドン、落下物、迎撃ミサイルPAC3人工衛星etc…さまざまなキーワードがマスコミをにぎわせたこの二週間あまりは、わずか2〜30分で幕を閉じました。

 ミサイルがくるぞ、迎撃体制整えて応戦だ、撃ちそぐねたら着弾して大きな被害を受ける、迎撃できても破片が降って被害を受けるかもしれない――などなど。

 「飛翔体」が通過していったあとも、落下物があるかもしれない、手を触れるな、などと危険を煽る報道がしばらく続いていました。そこまで大騒ぎしたわりに、日本国内における被害はゼロでした。

 準備万態にしていた迎撃体制は発動しなかった。結果として迎撃配備は要らなかったということになりますが、祖国防衛の要である自衛隊や消防隊の方々には、お疲れ様でしたとねぎらうばかりです。備えあれば憂いなしだけれど、備えが備えで終わるなら、それが一番よいに決まっていますから。

 しかし、備えなしにいきなりやってくる「飛翔体」「落下物」に対し、わが祖国の防衛体制は、まったく無力である実例を記しておきましょう。

 1988年(昭和63)9月2日、正体不明の飛翔体が岩手県川井村の山中に墜落、炎上した。
 1999年(平成11)1月21日、正体不明の飛翔体が岩手県釜石市の山中に墜落、炎上した。

 いずれの事故の「飛翔体」は、すぐに正体が判明しました。アメリカ空軍の軍用機でした。わが日本の自衛隊機ではありません。

 わが祖国・日本の国土に明白な被害を残したこの2事故は、異国の軍用機が起こしたもの。主権国家としては、事故を起こした軍用機が属する国に対し、断固とした態度をとり、抗議し、真相究明を要求し、誠意ある対応を求めるのが当然です。場合によっては制裁措置も視野に。

 しかし、祖国ニッポンの自民党政権は、制裁措置どころか、断固とした態度なんて1ミリも覗かせませんでした。幾度も被害を受けたのに、です。なぜかは面倒なので書きません。

 不思議な主権国家です。