山形も「世界遺産」断念?

2002年8月22日、月山にて。


 18日付『河北新報』一面にありましたです。ヤフーニュースから引用。

世界遺産 「最上川」登録断念も 山形知事
 山形県吉村美栄子知事は17日、世界遺産登録を目指して県民運動を展開してきた「最上川の文化的景観」について、登録を断念する可能性も含めて大幅に見直す方針を明らかにした。理由について吉村知事は「県内経済が厳しい現在、県民の足元の生活が大事だ」と説明。「(岩手県の)平泉でさえ実現できないように登録自体が厳しい」と、現実的な対応との考えも示した。(以下略)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090218-00000006-khk-l06

 東北に3〜4ヶ所ある世界遺産登録推進運動のひとつで、山形県がテコ入れしてきた「最上川の文化的景観」が、新知事になって「断念」を視野に見直すというニュースはいささか驚いた。というのも「最上川―」は、かの「平泉」よりは可能性があると個人的に思っていたから。

 表題は「最上川」だけれど、これには出羽三山も含まれる。7年前、月山に登ったことがあるが、金剛杖を手に山頂神社をめざす白衣の修験者たちの姿はなかなか壮観であった。以前から鶴岡へ仕事で訪れていたし、即身仏は有名だし、市街から望む真言密教の聖地をなす山々も幽玄な趣で、自然遺産としても価値があると考えていた。

 まあ月山などは八合目まで車道が延びていて自然破壊も相当なものだから、自然遺産ではなくあくまで文化遺産でなら、という前提での登録有望だけれど、開山1400年という歴史は平泉を凌ぐし、県や地元や住民が本腰をいれて登録推進に取り組めば、きっと実を結ぶとにらんでいたのは的外れではないと思う。どうせ無駄だという否定的意見だってほとんどなかったのだ。

 先の選挙で当選した知事の「県内経済が厳しい現在、県民の足元の生活が大事だ」という見解は正しいかもしれないが、「平泉でさえ実現できないように登録自体が厳しい」は、首をかしげてしまう。といっても最近は山形・庄内へ行ってないので、最上川周辺や出羽三山の現状はわからない。もしかしたら、鉄塔・車道・宅地開発などで、呆気にとられるような景観ぶっ壊しがあちこちで行われているのかもしれない。実際どうなんだろう。

 ちなみに全国で、もっともブナ原生林が残存する都道府県はというと、青森でも秋田でもない、山形なんですね。磐梯朝日国立公園が広大だから。