再会

エゾエンゴサク


 あのフィールドへ行ってみた。もう10年以上になるだろうか、一番好きな野鳥ノジコと出会った場所だ。

 この春は気温が高く、麓では桜はすでに散り、山間部のカタクリもおおむね終わり。さすがにそこはまだキクザキイチゲカタクリが咲き誇っていて、遅い春をすがすがしい空気とともに味わうことができた。

 農業用貯め池のほとりを歩くとエゾエンゴサク(画像)。周囲の小鳥もにぎやかだ。カモ類のほか、アオゲラオオルリ・ウグイス・ヤマガラホオジロ。池の上をカワセミが「チー」と鳴きながら滑空してゆく。

 去年は一度しか来なかったせいか、こんなに野鳥の気配は感じられなかった。

 斜面に生えているナラの木あたりから、あの聴きおぼえのある声。「ピーピーヒョルル、チリリン」

 あ、ノジコだ。

 肉眼では確認できない。双眼鏡を取り出して目を凝らしたけれど、姿は見られなかった。

 でもあの声は紛れもなく、ノジコ。懐かしいなあ、たぶん5年ぶりだよ。いたんだな、今年もここに来てくれたのだなー。

 薄緑のかわいらしい姿を見られなかったのがちょっと残念だけど、いることがわかっただけで満足だ。

 5月いっぱいはチャンスがあろう。また行ってみよう。