『「もののけ姫」の秘密 遥かなる縄文の風景』
去年、久慈力さんの『大和朝廷を震撼させた蝦夷・アテルイの戦い』(批評社)を読んだものの、内容の密度の濃さに感想をかくのをためらわれ、蝦夷(えみし)を勉強するならもっと初歩からでないと駄目だと痛感させられた。
で、高橋崇さんや工藤雅樹さんの著作をいくつか読んで、いちおう初歩の域は脱したかなとは思うけれど、『蝦夷・アテルイの戦い』を批評するには程遠い。といってもいまさら論じることもおこがましい。
ふたたび久慈さんの著作をなにか読んでみようとなり、宮崎アニメを取りあげた『「もののけ姫」の秘密』を手に取り、さっき読み終わったところ。
いやー、こっちを先に読んでおくんだった…。前著よりはるかに蝦夷についてわかりやすく、読みやすいから。なにしろサンプルとなる対象が、あの『もののけ姫』だし。映画を観てさえおれば、各々場面ごとに、わが祖先にして祖国の先住民・蝦夷との対照が容易で、すんなりと飲みこめる。
本書の感想は、これまた書くことがはばかられるほど、濃厚な内容となっている。したがって批評じみた真似をするのは控えよう。久慈さんと同じく蝦夷を先祖にいただく者として、必読であろう。
ただし、単に娯楽的面白さだけを求める、純粋なアニメファン・宮崎ファンにしてみれば、不愉快かもしれない。
『もののけ姫』の秘密―遙かなる縄文の風景 (遥かなる縄文の風景)
- 作者: 久慈力
- 出版社/メーカー: 批評社
- 発売日: 1998/10/01
- メディア: 単行本
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