NHK受信料て

NHKが受信料支払い対策の法的手段に乗り出し,不払いの視聴者から強制徴収を行うとの触れ込みでもって,慌てふためいた「支払い拒否者」が,雪崩をうつように払い出した現象はまことに日本的風景でした。

不払い者の多くは,払わなくても罰則規定がないなら払わない方がいいという,ただなんとなく払っていなかっただけなのでしょう。それが,払わないと簡易裁判所から支払い命令(というかただの督促)が来るとなればビビるのもうなずけます。なにしろ相手は裁判所です。払わないと財産を差し押えられるのですから。

つまり“お上”に弱いのですね,日本人の大多数は。払っている忠実さんも払っていないへそ曲がりさんも,その点大差ない。受信料そのものも小学生の小遣い程度の額だし。

「お前は払ってるん?」と聞かれれば,まあ私も払っていることになるでしょうか。ただし名義は会社名義なので,個人としてNHKに受信料を献上しているわけではないけれど,払う必要のないカネをNHKに捨てていることは事実ですね。

さて,NHK受信料は支払わなければいけないのか?

払う必要なんてなかったんです(過去形)。

勝手に雑誌や業界紙を送りつけられて「購読料を払え」と言われて払うバ…正直者がいますか? 実際うちの会社にですね,某政治団体北方領土なんとかの冊子みたいなのの宣伝に来まして,購読料年間ナンボと請求されたことがありましたが拒否。よくある手口では,頼んでもいない電話帳の広告料の請求も3年に一回くらい郵便振替用紙同封で届きます(笑。

ようするに勝手に電波を流しておいて,請求するなということなんです。

しかし法的手段,つまり払うことが逃れられない義務となれば,答えはイエスってことになります。裁判所もお墨付き。受信料支払いは国民の義務です。納税の義務と同じ。

したがってNHKを見ている人はもちろん,見ていない人も,NHK受信料を支払わなければなりません。テレビを一台でも持っていればですが。

ただし納税と違う点があります。それは契約であるということ。テレビを所有すれば,NHKと受信契約を結んだことになる。受信料はそうした契約に基づいて支払うわけです。

さて,もしNHKが,なんらかの契約違反をやらかしたとしたら? 契約不履行ってやつをNHKが犯したら。

そうなれば受信料など支払う必要は,ありません。督促がきてもビビることはない。契約不履行しといて督促するなと。

ではその「契約不履行」とはなんでしょう。NHKがどのようなルール違反をするというのか?

NHKは放送法にのっとって番組づくりをし,放送しなければならないわけですが,その放送法第3条の2にこんなくだりがあります。

「政治的に公平であること」

「政治的に公平」さを欠けるような行為をもしNHKがやったとなれば? たとえば政治家に事前に番組内容を明かし,政治家から難癖つけられ,番組を改変するとか。

実際にあったことであることは言うまでもないでしょう。放送法にある条文に抵触するような行為が起これば,これは契約不履行になります。受信料を払うための契約に違反している。したがって受信料を支払う義務は消え去ります。

まあ実際に起きたことなので,NHKはかように放送法違反を犯している以上,受信料支払いをする必要は,ありません。文句を言うなら「政治的に公平であること」を心がけて実行せよ,と。

それでも簡裁から督促がくるかもしれませんね。いや絶対くるでしょう。

異議申し立てしましょう。そうすれば民事裁判に移行します。そこからが本当の戦いです。これを待ち望んでいる“確信犯”が少なくないのです。むしろ増えているらしい。

少しはNHKの事情も書いておきましょう。なんでNHKは「政治的に公平であること」という条文と矛盾するような真似をして恥じずにいられるのか。つまり政治家(政府与党)の圧力に弱いのか。

根源には,NHKの最高意思決定機関である経営委員会の人事が政府与党に握られていることがあります。ようするにNHKは下半身を政府与党(自民党公明党)に握られているのです。野党(共産・社民)のクレームなんぞ糞食らえだが,政府与党の機嫌を損ねるわけにはいかないんだよと。

だから「政治的に公平」さを保つことなんてできるわけないんですね。政府広報的露骨な提灯番組は控えるにしても。

まあ支払いを拒否するなら,「政治的に公平であること」という条文にNHKは明らかに矛盾する行為をしているので,これは契約不履行に該当する。したがって受信料は払わない,でOKです。

あ,私はこれまでどおり払うでしょう。小心者なので。