アメリカが日本を見つめる眼

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/32187/

アメリカ合州国政府と,属国・日本政府とのキモイ関係はまだ10年以上はつづくだろうが,日本政府のキモさをアメリカのメディアは微妙に感じているらしい。

いま行われている中国での北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国)の核問題を話し合う六カ国協議では,かねてからアメリカ政府は,拉致問題を最優先にする日本政府の主張を全面的に支持する立場を堅持している。しかしアメリカのメディアは,どうもこの構図に変な印象を抱いているようだ。

「日本の右翼、北朝鮮拉致問題で狂喜」とのニューヨーク・タイムズ東京支局発記事が話題になっている。安倍総理大臣が,右翼の扇動(先導かな)で拉致問題に積極的に取り組み,総理大臣就任を果たし支持率上昇をもくろんでいるという内容。

右翼勢力にとって北朝鮮拉致事件は,これ以上ないくらいムカツクであろうとともに,国民のナショナリズムを煽る極上の素材になっている。この反・北朝鮮ブームに乗っかって支持率を上げ知名度を上げ,あわよくば出世を――なんていう政治家があちこちに湧いたことは知っているひとも多かろう。そして匿名掲示板には北朝鮮が憎いやっつけろたたき出せ八つ裂きにしたい――そんな声が毎日毎日載っている。

そんな日本の風景が,アメリカのメディアの眼には異様に映っているわけだ。これもまた日本とアメリカの文化の違いか。

北朝鮮工作者による日本人拉致問題は日本と北朝鮮という2国で折衝し,解決すべき問題。アメリカはじめ他の国へ協力を呼びかけ,対北朝鮮網を張り巡らせる戦術もいいが,アメリ政府はともかく,アメリカのメディアや国民は,必ずしも日本政府および拉致被害者とその家族には,多少の同情は示しても「全面支援」とはいかないらしい。友好国アメリカでさえ,こうなのだ。

そういえばニューヨーク・タイムズといえば,小泉サンの靖国神社参拝についても「アメリカは決して無関係な傍観者などではない。なぜなら靖国真珠湾を攻撃せよと命令した日本人を神として奉っているのである」とかなり痛烈な批判をかましたことがあった(2005-07-05拙日記)。

「友好国日本が拉致被害に遭っているのに,アメリカのマスコミや国民は,なぜ助けてくれないんだろう?」と冷静に考えてみるのも面白いかもしれない。