神社ね

梅雨どきのわが町・わが集落にてきのう,「山の神様」の祭典が行われた。

いわゆる鎮守の守(もり)の神様,地域の神社だ。

起源は定かでないけれど,集落(ほんとうは「部落」と書きたい)の守り神,地域に住む人たちみんなが共有するこころの拠り所として,おそらく明治以前から奉られてきた小さなお社だ。

祭典=お祭りといっても踊りや行列や出店があるわけでなく,テントやのぼりを立てて花火(のろし)を打ち上げる以外,お参りにくる人たちを係りのお母さん方が迎えて,お米や賽銭を置き,お酒を一口ほど飲んで帰ってくるだけ。一晩で終わる,ほんとうに素朴でささやかなお祭りである。

参加者や実行委員は年配の人ばかりで,毎年の人集めはかなり苦労を強いられ,いつまでできるかわからない(私も参加できなかったし)。でも田舎にはまだこうした風習・伝統・文化が息づいている。

おふくろが手伝いに行ってきて,みなでこしらえたおにぎりを持ち帰ってきた。おふくろは,自分が子どものころ,実家のある北上市でも地域の神社でお祭りが行われ,祖母が編んだ浴衣を着てお参りに行ったことを話してくれた。

昔は境内に巨木が立っていて,大きな構えの荘厳な神社だったというそこは,いまでは樹木は伐り倒され,犬小屋のような小さなお社に変わり果ててしまったという。大勢のお参り客でにぎわったお祭りも,いまでは遠い記憶となってしまった。

そういえば先々週北上のオフィスにいたとき,目の前の国道を,車体を鉛色に塗りたくった右翼団体街宣車が,まがまがしい演歌を大音響で流して走り去って行った。田舎ではめずらしい光景だ。

その街宣車の横腹には「靖国神社」と白く大書き。

ああいう人たちはなにを守ろうとしているのだろうか――そう思った。