女子高生の秋田弁講座

 友人によれば、秋田県内の子ども同士の会話は、すっかり標準語になり果ててしまったそうです。これは私も体感してまして、10年ほど前に山村の小学校へ取材で通っていたころ、僻地にもかかわらず児童の言葉遣いが、自分のころとは打って変わってこぎれいになっていることを知り、言葉の教育の成果に感心するとともに、一抹の寂しさを感じたものです。

 過去に何度か書いたことですが、東北秋田は関東から遠く離れ、いまだに交通の便が良いとは言えない事情から、方言がほどよい具合に残されていて、よそから来る人にとっては異世界のような印象をもたれる筆頭に挙げられていました。史上最強とまで呼ばれる秋田の方言は、しかしいまは風前の灯のようです。

 さいきん、こんな漫画が出版されました。ことし2月17日にも紹介したブログの管理人さんの力作が、一冊にまとめられたもので、内容は、すでに風化しつつ忘れられつつある秋田の言葉を、今ふうの女子高生キャラを駆使して描いたもの。

 でも、現実にいまの女子高生は、秋田弁をどれだけ使っているのでしょう。街角で彼女らの会話に耳をすませても、どうも標準語しか聞こえません。男子高生は、案外と喋っているようですが。

 方言で思い出したのは、5年ほど前にチャットで知り合った高知県の女子高生は、よくボイスチャットで土佐弁を披露してくれましたっけ。福岡の女子中学生も端々に博多弁が混じってて、和んだ記憶が。土佐の子は「進学で大阪行くけど、うちは土佐弁でがんばるき!」と宣言してました。こういうケースは秋田では見られないでしょうね。

 さて、画像の『はじめての秋田弁』、画風はいまどきの“萌え”系でしょうか? 羽後町の美少女キャラを連想させる図柄で、野暮ったさや泥臭さはまったく無いので、気軽に肩もこらずに読めます。秋田出身の漫画家さんは何人もいますけど、どの方も職人気質の気合い入ったタイプでして、こういう可愛らしいキャラクターを描ける人は…ちょっと思い当たりません。秋田にもこういう漫画描くひとがいるんだなーと。

 10代の若者から、私のような中高年層まで、クスリと笑いながらページがめくれる、そういう本。ぜひどうぞ。下のURLは著者さんのブログです。
http://akitayonkomachi.blog38.fc2.com/

はじめての秋田弁

はじめての秋田弁