あきれた「じゃじゃ麺」

 きのう夜に盛岡入りし、さてどこで夕食をするかと考えながら歩いていたら、オフィスそばにありながらまだ入ったことのないレストランの前を通りかかり、「じゃじゃ麺」ののぼりが目に付いた。

 盛岡三大麺のひとつ・じゃじゃ麺は、けっこう好きなので、ここで食うことにした。

 お品書き(メニュー)をめくってみたが、なぜかじゃじゃ麺がない。店員に確認したら、たしかに扱っているというので、注文した。

 まもなく運ばれてきたじゃじゃ麺。しかしいつも見慣れているのとは、様子が違う。

 太麺なのだ。普通の讃岐うどんのようなやつ。

 通常、じゃじゃ麺は平麺タイプで、コシが弱いもの。しかしコレはあきらかに普通のうどんだ…。

 さらに驚いたことに、冷たい。

 じゃじゃ麺は茹で上げてお湯を切り、皿に移したばかりの、熱々のを食べるのだ。なのにこれはいったい…?

 よくみると、素材のキュウリやネギが乗っかっていない。ネギは紅生姜と一緒に付け合せで別に用意されていた。肉味噌はちゃんとこんもりと盛り付けられていたが。

 これ、ぜったい、調理と盛り付け方を間違ってるぞ、と思いつつ、小心者な私は、いつもどおり肉味噌と麺を混ぜ合わせて、ずるずると食べるのだった。やたらとコシの強いじゃじゃ麺…。

 あらかた食べて、ちーたんを頼んだ。ちーたんとは、残ったじゃじゃ麺に卵を解いて熱湯を注ぎ、肉味噌やネギを加えて卵スープのようにして食べるもの。

 しかし、冷たいじゃじゃ麺で、ちーたんなんかつくれるのだろうか? いったん温めなおすのか? と戦々恐々として待ち、届いたものは…。

 生ぬるいちーたんでした。卵が半熟どころか、生のままじゃん…。

 それだけではない。じゃじゃ麺を食すのに必須な、ラー油やお酢を、そのときになって持ってきたのだ。

 ラー油・お酢は、最初の段階で客が好みで加えるもの。それをちーたんのときになって、やっと持ってくるなんて。

 さすがにこれはひどすぎると思い、店員に抗議した。

 「ラー油とかお酢って、最初に出すんじゃないの? そもそもじゃじゃ麺って熱いものですよ。冷たいじゃじゃ麺なんて聞いたことがない」と。

 店員さん、平身低頭でわびた。当店は蕎麦とてんぷらと焼肉が主体で、慣れていないため…としどろもどろ。

 調理人も、じゃじゃ麺の調理にあまり神経を配っていないらしい。でなきゃ、こんな呆れたじゃじゃ麺、つくるはずがない。肉味噌は店自慢の仕込みとあってなかなか美味しかっただけに、なおさら残念であった。

 お詫びに盛蕎麦をサービスしますと言ってたけど、大盛りを頼んだため、それもあらかた食ったあとだったので、もう胃袋は余裕がない。では無料で、とも言ってたけど、ただ食いなんかしたくないし、クレーマーになるつもりもない。というわけで半値にしてもらうことで矛を収めることにした。「今後は気をつけてください」と。

 お店の雰囲気は悪くなかったから、できれば贔屓にしたいところ。すこし頭を冷やして、また行こうと思っている。もちろん店の名前なんかは出しません。