「胆沢ダム」が中止にならない理由

 なんのことはありません。中止すべき根拠が無いからです。

 「小沢ダム」などと一部で揶揄されている胆沢ダムは、たしかに民主党幹事長・小沢一郎代議士の出身地に建設されています。でも、別に小沢幹事長のお膝元だからということはありません。どんな大物代議士がいようと、中止すべきなら中止すべき。しかし胆沢ダムには、中止に追い込む大義も突っ込みどころも、見つからないのです(八ッ場ダムや川辺川ダムは治水も利水も無駄・危険であることがほぼ確定していますが、胆沢ダムにはそれがない。あるなら教えてほしい)。その結果として、胆沢ダムには、当初から反対運動が存在しませんでした。いまもその気配はありません。

 胆沢ダムの規模は、堤体積比で全国3位というデカさ。巨大公共事業に対する風当たりが日々強まり、環境意識や自然破壊啓蒙活動が高まりゆく現在、これほどの大きなダムに、疑問を差しはさむ人が皆無だなんて、考えてみればおかしいと思いませんか? しかし胆沢ダムの周辺には、そうした声は、私の知るかぎりにおいて、ついに聞けずじまいでした。

 ちなみに岩手県では、盛岡市の簗川ダムと住田町の津付ダムには、いずれも反対運動があります。簗川ダムにおいては訴訟も行われました(原告側敗訴)。2ダムは県営ながら「凍結」の対象になる可能性があり、ことと次第によっては中止となるかもしれません。したがって、別に反対運動が封じ込められているわけではなく、“プロ市民”が買収されたり脅迫されているわけでもない。岩手だから、小沢幹事長の地元だからダム中止にならない、という情緒的な理屈は通じません。

 中止にするならそれなりの理由があるし、中止にならないならそれなりの理由があるのです。それだけです。

 いずれ、くわしく書きますが(たぶん)。