読者会というかイベント

 会員制ミニコミ誌「週刊金曜日」の定期購読者になって15年になり、10年ほど前にはルポを掲載させてもらい、原稿料なんていただいちゃったけど、秋田にもある「読者会」には、いちども参加したことがない。

 年に数回は会合がもたれているようだが、私のところは秋田市内から離れているし、そもそも正業は岩手を拠点にしているので、秋田市には滅多に行くことがないのである。友人・親せきもいないし。

 きのう朝はやく、リーダーからメールがあり、夕方に秋田市内で「金曜日」の読者会があるから参加しないかと誘われた。なんでも都内から編集長がくるらしい。くわしい内容は知らないけれど、私たちがいま関わっている件について、なんらかの力添えがもらえるかもしれないし、読者会で問題提起すれば、紙面にて積極的に取り上げてくれるかもしれない、と期待が持てそうな話。

 たしかに「金曜日」は、私らの活動と無縁ではない。10年前のルポ掲載はもちろん、最近も他紙の広告で援護してくれたりもした。拙文を担当してくださった編集部員もまだ在籍しているようだ。

 リーダーは参加する意向だったが、私は盛岡から駆けつけるのは難しいと答え、不参加を伝えた。それが急きょ、参加することにして、きのうの午後3時前、盛岡から国道46号を西へ向かったわけである。

 道すがらリーダーへ電話し、参加する旨伝えたら、なんかリーダーは都合わるくなって不参加だと。

 どうしようかなと思ったが、読者会は初体験だし、せっかくだから行くだけ行くことにした。開会時刻が午後4時で、私は一時間ほど遅れそうだから、もしかしたら迷惑かけるかもしれないと思いつつ、車を飛ばした。

 場所はポートタワーセリオンである。バブル期に建てられたハコ物。セリオンに行くのは6年前に千葉から来たルームメイトとのオフ会以来だな…と感慨を抱きながら、5時15分に到着した。開会から1時間以上過ぎている。

 建物の2階だそうだが、それらしき表示や案内板が、ない。職員に尋ねても知らないという。おいおい。

 別の建物じゃないですか?と言われて別棟にも走ったが、本館以外に考えられないという。

 受け付けの人っぽい女性に「週刊金曜日の読者会はどこですかっ」と息を切らせて問いただした。しばらく考え込んでの答えは「もしかして講演会ですか? それなら…」と2階のイベントホールを指したのであった。

 講演会でも読者会でもなんでもいい、とにかく現場へ行かなきゃ、俺たちの活動を取り上げてもらわなきゃ、と急ぎ足に階段を駆け登り、ホール入り口扉を押し開けた。

 暗いホールの奥が舞台になっていて、照明の下で男性がせわしなく喋っていた。観客がたくさんいた。200人くらいか?

 スタッフらしき若い男性に椅子を促され、私は空いている席にすわった。

 男性が話しているのは、時事がらみのこと。ときどき笑いが沸いている。

 いわゆる漫談である。

 拍子抜け。

 なんだ、読者会というか、イベントじゃん。

 「金曜日」のK編集長も来ていたそうだが、K氏の講演ははじめのうちに終わり、いま漫談しているのは松元ヒロ氏というコメディアン。

 漫談は、おもしろかった。時事・政治をからめた辛口の内容は、テレビでは聞けないものばかり。だからそれ自体は退屈しなかったけれど、ここへ来る途中にあれこれ思い巡らせていた段取りは、一瞬で崩壊した笑。 こんなんだったら来なくてもよかったわ、リーダー不参加は正解だったなと。

 松元氏の漫談は6時半でおわり、それで閉会なのである。観客は次々と帰っていく。私も帰路についた。まあ、あのあと編集長以下スタッフや秋田読者会のメンバーが会合でもしたかもしれないけれど、私としてはどうでもよくなっていた。初参加の分際で図々しく居残る神経は持ち合わせていないつもりだし。

 事前のリサーチ不足と言ってしまえばそれまで。でも「金曜日」の最近の号にはこのイベントの告知が出てないんだよな、と言い訳してみる。

 そういうわけでそそくさと帰りました。おわり。