鹿角から田沢湖へ

十和田八幡平国立公園の鉄塔と電柱


 社用で鹿角市へ行った。おなじ秋田県内でも、県南の私の街と県北の鹿角とは、交流がほとんどないので、私もあちらへいくのは10年以上ぶり。たぶん16〜7年ぶりかも。

 行きは盛岡経由で、高速道路を通った。自宅から3時間半というところ。

 帰りは、国道341号を行く。この国道、部分的には通ったことがあるが、鹿角から田沢湖へ行くことがこれまでなかったので、ほぼ全線を走るのは初めてだったりする。

 よい天気で、まだ大型連休の最中。といっても平日ではあるが、行楽の車もちらほら見られた。路線バスもそこそこ乗車率だったみたい。

 秋田県唯一の国立公園・十和田八幡平国立公園の一角をなす八幡平。ブナの森が見事だ。



 旧アスピーテラインの入り口まで来る途中、なつかしいトロコ温泉の看板と建物があった。16年くらい前に湯治したことがある。

 ところがトロコ温泉、閉鎖していた。

 素朴な建物はそのままだったが、玄関口をコンパネ板で塞いでいるのは、かなしい光景であった。道路をはさんで降りていったところにある銭川温泉にも入ったことがあるが、こちらは営業していたようだった。

 アスピーテラインはまだ日中のみの通行。ゲートを横目に、旧田沢湖町(現・仙北市)へ向かう。分水嶺を越えると仙北市。まもなく、有名な玉川温泉。強酸性の数値がpH1.1という強烈な成分だ。

 通り過ぎるのはもったいないので、これまた十数年ぶりに入ってみる。

 新玉川温泉というあたらしい施設ができたらしいことは知っていたけど、以前とはすっかり様変わりしていたため、旧施設へ行くつもりが、新施設へ行ってしまった。

 でも内部は木造建て。温泉の成分からすればコンクリートやタイルは腐食するためだから当然だけど。

 源泉100%。体のあちこちがピリピリ、チクチクとくる。濃硫酸とまではいかないが、それに近い成分なのだ。

 飲料もできるけれど、薄めないと歯が溶けて大変なことになる。10倍に希釈して飲んだが、レモン果汁みたい。

 ここは国立公園。なのに途中には鉄塔や電信柱。澄川地熱発電所からの電線だ。地熱発電は純国産のクリーンなエネルギーだけれど、多くはこういった景勝地にある。なにせ火山地帯につくられるのが一般的だから。

 でも自然豊かな場所に、鉛色の送電線鉄塔は、どうみてもそぐわない。

 電源開発は、可能な限り景観に配慮していただきたいものである。

 十数年ぶりの八幡平・玉川温泉は、たのしかったです。

 帰り道、仙北市側にあった新鳩ノ湯も閉鎖していた。なめらかでやさしい硫黄泉だったのに……残念なことである。