元アニオタが誘われる郷愁

 アニオタを卒業して22年になる。宮崎駿監督以外のアニメは興味も失せて久しいが、昨夜日本テレビ系列でめずらしいアニメが放送されるというので、見てた。

 ルパン三世名探偵コナンが合作になったやつ。

 ルパンはアニオタ時代から大好きであった。ただコナンは名前くらいしかし知らない。いまも少年漫画紙で連載されている人気漫画ってことくらい程度の認識。

 (あ、いつだったか点けっぱなしのテレビでコナンがやってて、野鳥の声の効果音が聞こえたので耳をそばだてたら、なぜか都会のド真ん中でシマアオジの声。バカか? 北海道の野鳥が東京のオフィス街で鳴くかっての、と心の中で毒づいたっけな)

 その2作がひとつの作品になって2時間スペシャルなんだそうだ。だから見た。コナンはどうでもいいが、ルパンが好きだから。

 一時間で消した。やっぱつまんない。もうアニヲタじゃないからなあ。

 ルパンは好きであったが、山田康雄さんが亡くなってから、なぜか急速に関心がしぼんだ。それ以外のキャストは現役で奮闘しておられるけれど、声の張り、衰えがありありと浮き彫りになってた。悲しく、寂しいことである。

 ルパンか。宮崎監督が指揮を取った「カリオストロの城」は、私の世代のアニメファンにとって、金字塔的存在であった。アニメージュのアンケートでも、何年だか連続で名作1位だった。

 あのころはすべてのキャスト(声優)たちも、もっとも油の乗っていた時期。

 でも時代は変わり、ファンが求めるアニメも変革の波が押し寄せ、私のような古い世代は置いていかれるような、言い換えればついていけないアニメが増産された。昨夜のルパンvs.コナンは、私のような世代向けのものでは、なかった。

 ルパン役の栗田貫一さんは、山田さん亡き後のルパンを、よく演じてくださってると思う。しかし、栗田さん自身も、ルパンを演じるというより、山田さんのモノマネをやっていると語っているそうだ。その心意気も好きだが、所詮モノマネ芸人のモノマネ。

 昔のファンとしては、「カリオストロ」のころのルパンを、もう一度みるのが悲願だけれど、宮崎監督がふたたびメガホンを執るとは考えられないし、栗田さんもシリアスなルパンを演じられるかどうか。

 古いファンは、前時代的なアニメに郷愁を抱くのみ。

 うん。