矢口高雄さんがテレビに出てたんだが

 遅い昼食を摂りながらつけていたテレビの画面字幕に、気になる人物が出ていたので、つい音量をあげてみた。

 気になる人物とは矢口高雄さん。「釣りキチ三平」の作者だ。番組には矢口さんのほか、司会は峰竜太で、俳優の梅宮辰夫氏、ラムちゃん役で知られる声優の平野文さんも出ていた。

 あとで新聞で確認したら、番組名は「元気にありがとう&花マル健康テレビ」だったが、番組は魚の栄養を科学的に分析し、栄養価の高さを訴えるもの。NHKの「ためしてガッテン」みたいなものかと思った。

 が、続けてみているうちに、どうも催眠商法っぽいというか、カルト臭くなってきた。かのインチキ番組「発掘!あるある大辞典」どころじゃない胡散臭さが漂う…。

 なんのことはない、テレビショッピングだった。スポンサーは洋酒メーカーのサントリー

 DHCとかいう魚の有用成分をサプリメントにした商品を、視聴者に洗脳して売り込んでいるのであった。

 ゲストコメンテーターの矢口さんや梅宮氏が、わざとらしく司会者に質問をし、手ぎわよく下ごしらえのテーブルが運ばれてくるあたり、お手盛りというか台本どおりというか、打ち合わせどおりの番組進行がみえみえ。梅宮氏の出演ギャラなんかハンパな金額じゃあるまいに、一番露出が多かった。他のゲストなんか無名の局アナ。顔をそろえさせるだけの飾りでしかないところなんか、演出の苦労がしのばれる。

 矢口さんのギャラもどのくらいなのかちょっと見当がつかないが、視聴率をとれる人とはとても思えないので、おそらく二束三文だろう。単にサカナを扱ったマンガで有名だからってだけでお呼びがかかったにちがいあるまい。

 DHCをうたったサプリメントは、ほかにもたくさんあるようだが、サントリーという超有名企業の商品ならと、この、手の込んだ番組をみて電話をかけ、購買にはしる視聴者も多いことだろう。

 それにしても有名俳優から無名アナウンサーまで、こんなカルトまがいの番組に出演。それも仕事であり、お金を稼ぐためとはいえ、一商品の広告塔を引き受けざるを得ないほど、生活に困っているとも思えない。梅宮氏や矢口さんの仕事は、こんな番組に出ることじゃないだろうに。

 どんな仕事でも依頼があれば受ける。たとえカルト臭くても。カネさえもらえればいい。

 まあ、常識の範囲内で、良識を踏み外すことがなければOK、という条件もあるだろう。詐欺商品だったらさすがに拒否するだろうが。