きびだんご

 岩手県内の「道の駅」にちょくちょく寄る。雑穀の産地だけあって、キビやアワ・ヒエが売られているので、ときどき買い込んでご飯と一緒に炊いて食べると、なかなか美味しいのである。

 粉末にしたキビ粉もあるので、正月にそれを買ってみた。「桃太郎」の童話で知られるきびだんごを作ってみようと思って。買ったのは“たかきび”だ。ココアみたいな見た目。

 ネットできびだんごの作り方を調べると、キビからつくるのは炊き出しからはじめるので面倒そうだったが、キビ粉からつくるのはごく簡単だった。

 材料はキビ粉200グラム・熱湯ワンカップだけ。

 器にキビ粉をあけ、熱湯をいれてこねる。耳たぶ程度の硬さにし、これをそば打ちのように棒状にのし、ひと口1センチずつ切り落とし、一個ずつまるめて出来上がり。

 餅みたいなものなので、こねるときは手にくっ付くから、手を水で濡らしてまとめるのだ。本当に簡単にできた。

 これを、あずきのお汁粉で食べるか、ゴマあんで食べるわけだが、煮あがったお汁粉に熱々のきびだんごをいれ、しばし煮付めて食べた。

 バカ美味い(汗)。噛みごたえ、舌触り、風味、文句なかった。

 ゴマあんでも食べたが、こっちもすこぶるイケる。

 これなら、犬や猿やキジが釣られるのもうなずける。こんな美味いもの食えるのなら、俺だって鬼退治に行くかもって。きびだんご恐るべし。

 * * *

 そんなわけできびだんごのことを書いたわけだが、2007年6月5日の日記「わが祖先の血と涙」で、童話の桃太郎と坂上田村麻呂を関連づけて書いたことを思い出した。

 日本列島に進入してきた外国人、いわば“在日”の末裔である田村麻呂ら大和人が、東北の地下に眠る金銀銅や鉄を狙って、蝦夷の楽園を略奪してきた歴史は、しつこいくらい書いてきたが、童話にでてくる人物のほか、犬や猿やキジや、「きびだんご」にはどのような意味がこめられているのか、ちょっと考察してみた。あくまでちょっとだけ。

 桃太郎=田村麻呂、鬼が島=東北地方、鬼=蝦夷(東北の先住民)、金棒=金鉱脈はそのままとして、犬や猿やキジは、あれだろうか。田村麻呂に従った蝦夷、つまり俘囚。あるいは土蜘蛛や熊襲など、東北以外の先住民。

 そしてかんじんのきびだんごは、それら先住民の大好物なわけだから、当然、東北で栽培されたブランド物のキビ。極上品。

 なるほどねー。蝦夷など、日本の先住民を懐柔するには、先住民が喜ぶものを与えるのが一番、というわけだ。それがきびだんご、それも先住民の地で作付け生産された、とびきりの美味いやつ。

 まあこれは夢想ですけれど、それにしてもきびだんごは美味かった。