ネットカフェ難民の今後

 出張先の宿舎にもパソコンはあるが、パワーがしょぼいので、気分転換がてら、ときどき近くのネットカフェへ行って、高スペックのPCで鬱憤をはらすことがある。

 盛岡市内もけっこう、そういったネットカフェ網が充実してきてて、時間が余ったときなどは最寄のネカフェへ入って暇をつぶすこともしばしば。

 最近、といってもここ2〜3年で定着した感のある「ネットカフェ難民」と呼ばれる方々が、田舎ではまだ見たことはないけれど、料金も安く、施設内にシャワールームを備えた店も出来たことから、ぼちぼち増えるのではないかと憶測している。

 岩手は住宅事情が悪くないし、寒空に家族を放り出すような薄情な家庭もない(と思う)。ネカフェ難民さんが一律そうであるような、いわゆる派遣会社の登録社員も、都市部ほどには多くない。でも今後増えていくと思われるからだ。もちろん岩手・秋田にだって派遣会社は存在するから。

 「8000億円の投資」とやらで決まっていた東芝の北上工場進出が、着工延期となったニュースは衝撃的だった。なにしろ1000人規模という未曾有の雇用が、立ち消えになりかけているのだから。派遣もあろうが、多くは正規雇用であるだけに、東北に有り余る有能な人材の受け入れ話が白紙になるとなれば、これは歳末の岩手経済を揺るがす大事件となろう。

 おりしも「『派遣切り』で3万人失業へ」という時事通信のニュース、この10月から来年3月までの半年間で、3万人という派遣社員がクビを切られるという実態は、経済悪化・不況に歯止めがかからない現状を映していようか。

 公害が発生すれば、まず野生動植物が死に、スズメやカラスが居なくなり、子どもや老人が異変を訴えはじめる。私たちの体調が悪くなれば、まず食欲がなくなり、体がだるくなり、頭痛がはじまり、熱が出て――そして医者へ、というプロセス。

 社会に病巣が生まれれば、まず社会的弱者から症状が起こる仕組みとなっている。老人・子ども・障害者・ホームレス等々。ネットカフェ難民も社会的弱者と位置付けられるだろうか。

 幸い私は無職だったことはないし、これまで派遣社員ネカフェ難民とも無縁でこられたが、好況とは言えないけれど氷河期ともいえない、いまのところは“どうにか食いつないでいける”田舎の経済のゆくえが、気になりだしてきたところである。

 岩手にもネカフェ難民が増えてくれば、さすがにやばいかもね。