須川温泉へ

大日岩


 3ヶ月ぶりくらいに栗駒山中腹の須川高原温泉へ行ってきた。6月の岩手・宮城内陸地震でこの温泉もしばらく閉鎖を余儀なくされていたのが、7月半ばに道路開通とともに再開され、お盆休みを利用して浸かってみようと。

 温泉へ通ずる道路の傷みは想像以上で、あちこちに陥没・地割れがあり、橋のたもとは必ずといっていいほど段差が生じていた。応急処置でもって通行はできるけれど、日中のみ。夜間や豪雨、震度3以上の地震のときは閉鎖される。片側交互通行の箇所は10箇所以上にのぼっていた。小さな亀裂はそれこそ無数にありそう。

 県境にちかい温泉にたどり着くが、驚くほど閑散としている。駐車場の車がわずか10台ほど。建物の中に入って休憩を告げ、大広間に行って呆気にとられた。無人なのだ。客はわれわれだけ。普段なら平日でも数十人はいて、休日となればもう満員、外へあふれんばかりに湯治客がごった返しているのに。岩手県側からの通行が完全不能になっているとはいえ、いやはやこれほどとは。

 そしてここの名物・大浴場がつかえないのだ。地震による損傷がひどく、手がつけられない状態らしい。応急的な修復もできないとか。やむなく温泉側は中浴場と、比較的新しくつくられた露天風呂で客に対応しているのだ。

 ここまでくると気の毒を通り越して痛々しくさえある。とはいえ、宮城県側の湯ノ倉温泉や駒の湯からすれば、営業できるだけはるかにマシなのだろうけれど。

 貸し切り状態の大広間で地ビールをあおり、雨の音を聞きながら寝てみる。地震の爪あとは深いけれど、温泉は以前と変わらぬ名湯。混雑とは無縁となった須川温泉、みなさんも行ってみてください。秋田県側からのみの通行となります。画像は地震で崩れた「大日岩」です。