お疲れさま桑田選手

 メジャーデビュー目前かと思っていたパイレーツの桑田真澄選手が、引退を決断したとのニュースは、野球にあまり関心がない私にとっても一種の感慨を抱かせました。

 プロ選手の桑田と凡人の私は、もちろんなんの接点もないけれど、同じ学年。ともに1968年生まれで、私は3月13日で桑田はたしか4月1日生まれ。ギリギリ同期なのです。彼がPL学園時代、私もおなじく高校生でしたから、高校野球で甲子園を沸かせていたころ、清原とともに彼の活躍をリアルタイムで観戦していました。

 中でも印象深いのが、1984年夏の選手権大会準決勝です。

 わが秋田代表の金足農業高校との対戦で、夏休み明けの私たちは、職員室のテレビ中継を先生方から聞き、「金足が勝ってる!」の報せに胸を躍らせました。勝てば郷土代表の公立校が、あのPLを破って決勝進出なんて、夢のような話が現実のものとなりつつあったのですから。

 その夢を打ち砕いたのが、当時2年生の桑田だったのです。金足のエース水沢博文投手の失投を彼は見逃さなかった。逆転2ランを打たれたのです。

 やられたーと思いながらも、打者としての桑田の凄さも思い知らされ、秋田をも盛り上がらせてくれた高校球児・桑田には尊敬の気持ちさえ抱かせてくれたものでした。

 その後の活躍は同年代ならたいてい憶えているでしょう。清原とのKKコンビでPLの黄金期を築き、ドラフトをめぐる読売球団との密約問題や、西部へ入団した清原との確執、その年のオールスター戦での対決や、日本シリーズの清原の涙など、いつも話題を提供してくれ、新聞に名前が載ればついつい読みふけってしまう存在でした。

 プロスポーツ選手は、現役としての寿命が決して長くありません。野球はそれでも前線で活躍する期間が長い方かもしれないけれど、いずれ一線をしりぞく日が来ます。桑田にもその日が、とうとうやってきたようです。

 いまはただ「お疲れさま」と言うのみ。感謝と尊敬をこめて。これからの人生が実り多きすばらしい道となることを、同学年として心から願わずにいられません。ほんとうにお疲れさまでした。
 (敬称略)

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桑田引退決断「燃え尽きた。悔いない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080327-00000034-nks-base