『クローズド・ノート』はどうかな

 聯合ニュースサイトで、『パッチギ!』シリーズの井筒和幸監督がインタビューに答えていた。これまた興味深い内容になっているので全文をぜひ…と思ったけれど、やっぱ控えよう。一部だけ貼り付けます。

 ――21世紀にも在日コリアンたちの苦難は依然として存在しているが、あえて1960〜1970年代を舞台にした理由は。

 「今の時代を舞台にすれば、物語を作ることはできなかったと思う。それほど現代の日本社会は保守的だ。今の日本の文化的に見ても、現代が舞台ならうそを描かなければならなかっただろう。韓国もそうだと思うが、日本映画界でも今は軽い映画ばかりが大量に作られている」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071003-00000003-yonh-ent

 井筒監督が、21世紀のいまを舞台に在日朝鮮・韓国人の現状を映画化することに、ここまで絶望していたとは。「それほど現代の日本社会は保守的」と見ていたとは。

 「保守的」な「現代の日本社会」では、「保守的」なひとたちが嫌がる映画は歓迎されないばかりか、「保守的」なひとたちに、叩かれ、けなされ、反日扱いされるからだろう。叩かれるのは監督はもちろん、出演者も後援協賛側も一律おなじこと。それを証明したのが『パッチギ』シリーズだった。叩かれた井筒監督の言葉だから重みがある。

 ようは「保守的な」ひとたちが喜ぶような映画でなければ製作・公開はむずかしいということだろう。その結果「軽い映画ばかりが大量に作られ」ることになるわけか。軽くない映画、言ってしまえば重い?映画はだれも積極的に観ようとしないし、収益が見込めなければ配給先も敬遠するだろうし、俳優・スタッフも避けるだろうし、上映スクリーンも限られるだろうし……。

 『クローズド・ノート』(行定勲監督)が公開されている。主演は『パッチギ!』で好演した沢尻エリカ行定勲監督は優れものの若手監督だし、沢尻のイメージも個人的には良いから(舞台挨拶の態度がどうのと騒がれているが、ああいった次元の低い些事にこだわるところが、マスコミとそれに踊らされている視聴者の程度を示している)、『クローズド・ノート』の観賞を検討してみたところ……携帯サイトの連載小説が原作?

 予告編をみてみた。「大量に作られている」「軽い映画」のひとつのようでした。

 まあ、観賞するかどうかは信頼できる評論家の映画評を見てから決めよう。