幼いころのホタル狩り

 北上オフィスを閉じて立ち寄るところがあったため,帰宅が遅れた。9時半ころ地元にさしかかると,山手に近い田んぼの水路の上を,チカチカ頼りなげに光るものが数個。

 ホタルだ。

 私の地元は田舎だけれど,水田を張り巡らされている水路は,ほとんどみな3面コンクリート張りだ。

 区画整理で田畑はすべて四角形になり,まんべんなく水を満たす水路も,昔ながらの土水路は消え,効率のよいコンクリート張り。かなりの山奥でさえ土水路は見られなくなった。

 だからメダカはもとより,フナやドジョウ・タナゴは全滅した。必然ホタルやタガメタイコウチといった水生昆虫もいなくなった。

 なのに民家からさほど離れていない田んぼにホタルが舞っている。

 今年も見られた。よかった。

 その現場はすぐ山手に沢があるから,おそらくそこで繁殖したホタルが下りてきたのだろう。ホタルの幼虫がエサにしているカワニナのいる沢ならまだ残っているから。

 子どものころ,家の前を流れる水路でホタルを捕まえ,ビニルの袋にいれて寝床につるし,青白く光るホタルを楽しんだものだった。朝には死んでいたけれど…可愛そうなことをしたな。

 いまではホタル狩りをする子どもなどいない。ホタルも子どもも減った。いまの水は苦いのだろう。