わが祖先の血と涙

 坂上田村麻呂の墓が発見されたというニュースを複雑な思いで見ました。京都府山科区西野山岩ケ谷町の「西野山古墓(こぼ)」だという。文献を調査した京大の准教授が断定したそうです。

 ニュースはこういう書き出し。「平安時代初期の征夷大将軍」。征夷の「夷」とは蝦夷(えみし)のこと。つまりわが遠い祖先。古代東北の先住民です。

 その祖先を「征する」大将軍・坂上田村麻呂ユダヤくんだりから鉄や金を求めて進出してきたメソポタミア都市文明の侵略者の末裔です。

 諸説ありますが,およそ8万年前よりこの美しい国に住み,自給自足・自由に生きてきたはるかなる縄文人――蝦夷・土蜘蛛・国楢・隼人・熊襲ら各民族の楽園。これを踏みにじり,土地を奪い,文化を破壊し,蹂躙しつくした侵略者のひとり,それが田村麻呂なのです。

 桃太郎の童話は,悪事のかぎりを尽くす鬼どもを,桃太郎が,鬼ヶ島へ行って退治する物語です。

 鬼=蝦夷
 鬼ヶ島=東北
 桃太郎=田村麻呂

 これでだいたいわかりますね,古代東北の先住民は鬼扱いされているのです。こういう作り話を幼少のころから私たちは刷り込まされ,わが祖国の真の先住民を悪者に仕立て,侵略者どもを英雄と崇めさせられておるのです。

 ちなみに桃太郎(侵略者ども)の目的はなんだったと思います? 鬼の持ち物,金棒=金・鉄です。東北には東洋随一の金鉱脈があったんですね。

 全国各地には,田村麻呂伝説がそれこそぎょうさん散らばっています。そのすべては英雄視されたもの。渡来侵略者の巣窟・大和朝廷は自分らの都合の悪い史実はことごとく隠蔽し,日本を創りあげた始祖ヅラしてのほほんと歴史を偽造しました。古事記日本書紀も創作の列挙でしかない。年号だのといった表面的な事実関係はこれをもとに調べがつくけれど,侵略した側が教科書をつくればどんなシロモノが出来上がるか,かの「つくる会」が示してくれたっけ。

 田村麻呂は全国どこへいったって英雄になっています。たしかに彼は渡来系の中では人間性に富んでいた節がみられる。しかし,みなさんの遠い遠い祖先――蝦夷・土蜘蛛・国楢・隼人・熊襲その他,多くの先住民が,朝廷の「征夷」という名のもと,徹底して弾圧され,ある者は殺されある者は懐柔され,またある者は奴隷にされました。いまの日本人のほとんどはその子孫なのです。

 いっときでも思いをはせてもらいたい。私たちの祖先が流した血と涙に。