雪の町

地元のK橋を渡りながら,川向こうの田畑の影に広がる里山が,北から南に向かって白くかすんでいて,白い靄(もや)がどんどん南に下っていく様子を見た。

雪のスコールだ。

空から降り注ぐ雪が,景色を次第に消失させる光景だ。

たいていは吹雪だけれど,きょうはきのうと違って風はあまりない。雨と違い,静かに音もたてず,雪がそろそろと落ちてくる。しかしそれが巨大な塊になってくると,遠目にみていて圧倒される。白い巨大な壁が,山・木々・家々などあらゆる景色を飲みこんでゆくのだ。

雪軍団はやがて私の運転する車も飲みこんだ。

白い渦の中,私は車を走らせた。

風はないし,まだ降り始めだから走りにくくはない。いつもの雪だ。

きょう15日を境に,秋田は雪解けが始まる。春へむかってUターン。