ねこが重体です

19歳になるわが家の猫の容態が,きのう夕方に急変した。

昼ころまでは立って歩けていたのが,まったく立ちあがれなくなり,エサも自力で食べられなくなった。今朝は牛乳に猫缶をミキサーした流動食をスポイトで与えたが,ほんの二口ほど,かろうじて飲み込んだだけだった。

これはもうだめかもわからんね…。 

死期が近づいたのがありありとわかるが,とりあえず動物病院へ連れていった。かかりつけの医院が休診だったので別のところだ。はじめて訪れた病院で,とても良心的に診察してくれた。脱水がひどく,体温が低いことから血圧もかなり低下していることがわかった。

医師の言うことはこう。

「この症状がどんな原因によるものかは,レントゲンや血液検査をしないと断定できませんが,症状からして尿毒症が考えられます。老衰ということも大いにありうる。ただ検査をすると結果が出るまで何日も時間がかかるし,猫の体にも負担がかかります。この猫ちゃんももう19歳,充分生き抜いたと思います。自宅でご家族と一緒に,余生を過ごさせてあげた方がいいでしょう」

もっともなお話だと思う。医師は「一週間はもたないでしょう」とも言った。「脱水症状を緩和するために水分補給の栄養剤を注射してあげましょう。ほんとうは点滴の方がいいのですが1〜2日かかるし…」

そうか。そうだな。生き物は必ず死ぬ。

ふう。猫はいま,そばで横になったままほとんど動けず。かすかに目を開けているが,うつろなまなざしだ。

脱水症状をやわらげようと牛乳をあげてみても,口をまったく動かせない。もはや飲み込む力さえ,なくなったか。

俺はきょう夕方からまた出張で出かけないといけない。帰るのは4日の日曜日。猫はそれまで生きていられないだろう。

こんど自宅で迎える朝は猫のいない風景だ。19年ぶりに。