猫の安楽死

19歳になるわが家の古猫が,オムツをつけるようになってもう半年近く経つ。あてもなくぐるぐる時計回りに回り歩く様子は,どこか死に場所を探してさまよっているように見えると以前書いた。せまい場所によろけながらも入りこんでしまい,身動きがとれなくなってニャーニャー鳴きわめき,あわてて助け出したケースがもう10回くらいになった。

もう死を待つばかりの猫。

食欲は旺盛だ。にもかかわらずやせほそっている。体重はたぶん多いときの半分程度まで下がったろう。

ふと脳裏をかすめた。子どものいない中年夫婦が,10年以上ともに暮らした飼い犬がガンに冒されて,獣医にて安楽死を選択した話。

「助からないなら楽にしてあげてください」と医師に訴え,犬は息を引き取った。

「自分の親が死んだときだって泣かなかったが,あの時は泣いた。犬だって自分の子どもと同じだよ,言うことがちゃんとわかるし」と男性は語った。

愛猫が目の前で死ぬのはつらいが,最期を看取るのも役目かもしれない。だが決断できるかどうか自信がない。家族も反対だし。

ねこ。安楽死