八峰町も世界遺産になれるかも?

2009年はじめての青空


 あまりテレビを見ない私だが、たまたま点けていたNHKで「世界一周エコ大紀行」という番組が放送されていた。

 「世界」ということは、日本国内の「エコ大紀行」ではないということになる。文字通り、画面にはグリーンランドの氷河が映し出されていた。

 南極の氷が解けているとか、熱帯雨林の森が破壊されていくとか、中国の草原で砂漠化が進んでいるとかといった警鐘モノなら、もう数え切れないくらい放送されているが、私たちが住む日本国内の、すぐ足もとの自然、里山や自然林や原っぱ、ちょっと足を伸ばせば原生林やサンゴ礁などで、いまも行われている、国家が主導を執る「公共事業」の名目で実行されている破壊行為は、まず放送されないし、レポートされない。

 つまり外国の自然破壊には高額の経費を投じて取材にいくけれど、国内の自然破壊、それも今まさに消されようとしている、火急を要する現場には、絶対に取材にいかない、レポートしないのである。取材・報道の自由だの、国民の知る権利というのが絵に描いた餅であることがおわかりいただけるだろうか。

 というわけで、こういった番組は、政府自民党関係者を含む日本人すべてが安心して見られる、毒にも薬にもならない、無難で八方美人的な内容となるのがフツーなので、私も娯楽モードでぼんやり見ていた。

 その中でちょっと興味を引いたこと。コスタリカ世界遺産がレポートされていた中で、かつて森を焼き払って放牧をしていたが、政府が土地を買い上げ、国を挙げて自然の再生を行い、世界ではじめて再生自然が世界遺産に登録されたというもの。

 へえ、いったん壊した自然でも、関係者が本気になって復元・再生に取り組み、これが実を結べば、ユネスコ世界遺産の価値を認めてくれるのか。

 すぐさま思い出したのは、日本で初めて世界自然遺産に登録された、わが白神山地。県境に沿って、旧八森町(現八峰町)の管内が、見事に登録からはずされた世紀の大恥さらしである。

 なぜ八峰町世界遺産に登録されなかったのかは現場をみれば一目瞭然、ここを所有する業者が、ブナを県境ギリギリまで伐採しつくし、跡地をスギの人工林に塗り替えたから。その光景はまさにヘドが出るとしか言いようがない。

 あのあまりにも情けない光景は、県民すべてが肝に銘じなければなるまい。

 でも、もしも県や国が、あの貧相なスギ人工林を買い上げ、本来あるべきブナ・ミズナラに植え替えて森の再生事業に取り組めば、あるいは数十年後には世界遺産の登録地拡大のような形で、八峰町もその枠内に収まるのではないか。

 いったん破壊した自然でも、その後の対応次第では、世界遺産に登録されるという前例があるのだ。これはいいことを聞いた。

 ぜひ検討をお願いしたい。県当局と現政権。画像は本日の雪山。