光市事件、死刑判決

 光市事件の差し戻し控訴審の判決が出た。死刑だという。短く書いておく。

<光母子殺害>差し戻し控訴審で死刑
 山口県光市で99年に母子を殺害したとして、殺人罪などに問われた当時18歳の元少年(27)の差し戻し控訴審で、広島高裁は22日、無期懲役判決を破棄し、求刑通り死刑を言い渡した。
 (毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080422-00000001-maiall-soci  

 過去にこの件がらみで書いた拙文は↓
http://d.hatena.ne.jp/binzui/searchdiary?word=%b8%f7%bb%d4

 もしかしたら弁護側の言い分が認められ、したがって被告の元少年の「殺意なし」が認定され、傷害致死罪にそった判決が出されるのでは――と脳裏をよぎったこともあったが、やはりそうはならなかった。

 死刑制度に反対だからというわけではないけれど、この事件で、弁護側は別に死刑反対を旗印にしているわけではないのだ。被告が殺意を否定したので、それに対応して弁護活動を展開したまで。被告が従来どおり、殺意があったとはっきり答えておれば、今回の判決も、よもや無期懲役だったかもしれない。実際、過去の一審・二審では無期懲役を下したわけで。

 ところが差し戻し控訴審で被告は殺意を否定した。これには被害者遺族も検察も裁判官も困惑したに違いない。殺意がなければ殺人罪には問えない。したがって死刑などありえない。だから「死刑回避」の弁護活動とはならない。弁護団はそこを突こうとした。

 でも判決は、被告の言い分をすべて退け、死刑を言い渡した。

 大方の見方は「判決は正しい」で一致するだろうが、一種ひねくれた見方をすると、裁判官は空気を読んだのだと思う。国民がこれだけ注目し、裁判のなりゆきを固唾を飲んで見守っているとき、だれもが期待している「死刑」を下さないばかりか、被告弁護側の言い分に迎合して傷害致死罪にとどめたりしたら、ものすっごい反響が沸き起こるだろうし。

 予想通りの判決というのは正直、つまらないものだ。おそらく弁護団は上告するだろうが、最高裁の結論も「棄却=死刑確定」が見えている。

 ただし本番はむしろ、そのあとに控えていそうな気がする。再審請求とかね…。