『ハプニング』観てきた

映画よりこっちにビビッた。


 さんさ踊りがはじまったばかりの昨夜の盛岡、シネコンにまた行ってきた。あの話題作『ハプニング』(M・ナイト・シャマラン監督・脚本、マーク・ウォールバーグほか主演)である。

 なんの気なしにウェブで宣伝されていたこの映画の予告編をチェックし、これはおもしろいんじゃないかと思い、出張の機会に昨夜観てみたところ、期待どおりであった。完全娯楽モードで鑑賞した感想でも書いてみよう。

 ネタばれになるので核心は触れないでおくが、ミツバチの失踪の謎から分け入って、自然のデリケートな面をごくシンプルに、こうも恐怖心を煽りながらも描くシャラマン監督の腕前には感心した。これといった特撮やCGも用いず、大掛かりなスタジオセットも使わず、ありのままの日常で、人間と自然との関わり方の難しさを描き、人間の驕り昂ぶりに警鐘を鳴らす。ホラーチックな演出にはやや辟易したが、ストーリーに潜むメッセージをどこまで読み取れるか、観客としても試されていようか。

 アメリカの某地方都市。突然、人々が異様な言動を放ち、極端な自傷自死行動に走り、大量の死者が出る。原因不明のまま助かった人々は街を出るが、人々の異様な行動は行く先々で起こる。テロリストの毒ガス散布? 原発からの放射能漏れ? 軍やCIAの実験? 真相がわからぬまま、主人公の高校教師エリオットは妻と友人の娘を連れて逃げまどう……。

 ミツバチの失踪の謎から物語の謎解きが始まると書いたけれど、ミツバチ失踪の理由は、単一種からの蜜・花粉採取がミツバチの生態に致命的だからというもの。ミツバチも生き物だから、同じエサばかり食べてたら抵抗力がなくなって死んだり、どこかへ逃げるのが当然。健康な巣を維持するなら多様種から蜜をとらせるべき、というのが原因なので、この映画の象徴とするにはやや説得力に欠ける面もあるが、それは措こう。

 いやーなかなかお勧めです。ぜひどうぞ。おわりに、主役である高校教師を演じたマーク・ウォールバーグのインタビューの一部を紹介しておこう。あと画像は映画より怖かったパンダです。ポーって呼んであげてね。

 自然は、与えられた美しい贈り物であるこの地球を、僕たちがどう扱っているかについて、決して満足していないと思うよ。
http://eiga.com/movie/53504/special/3