M7.2…原発は

 盛岡オフィスで仕事に入ろうかというとき、ズズズズ…ズーンという振動が襲い掛かり、すぐさま地震と直感したが、揺れ方がただ事ではない。

 縦揺れなのだった。震源地にちかい直下型特有の。さすがに肝を冷やした。とくにオフィスでは被害はなかったけど。棚から物が落ちてくるなんてこともなかったし。

 揺れはずいぶん長く強く感じられたが、盛岡は震度4という。震源地の奥州市(旧衣川村あたりらしい)は震度6強という烈震だった。マグニチュードは7.2。立派な大地震である。

 被害も時間を追うごとに判明し、拡大しつつある。馴染み深い栗原市(旧栗駒町花山村)の山間が、大規模な地すべりだか土砂崩れになっている映像をみて呆気にとられた。

 日本に住んでいる以上、地震からは逃れられない。それはわかっている。大地震に見舞われたら、安全な場所へ避難するしかない。

 でも原発の存在が不気味だ。もしアレが致命的な破壊をくらったら、日本には逃れる場所がないのだ。そのときが来たらもう遅いのだけど。

 それを知りながら自民党政権は、原発推進政策をやめようとしない。支持者もまた、やめさせようとしない。御用学者を動員して「どんな地震があっても原発は安全」と喧伝し、支持者も無理に信用して、あえて考えないでいるか、自分に暗示をかけて不安を払いのけている。

 たまたま夕べ、ネットカフェで斜め読みしたマンガ――梅津かずお著「漂流教室」とかわぐちかいじ著「太陽の黙示録」は、自然災害を題材にしたマンガだった。天変地異が起こればああいう世界も夢物語ではないのだが、原発が元で想定される被害には、ほとんど触れていないようだった。

 そういえば…さいとう・たかを著「サバイバル」「ブレイクダウン」も望月峯太郎著「ドラゴンヘッド」も、この手の漫画の走りとなるパニック物だったが、普通の感覚なら考えて当然であろう大地震による原発放射能被害は、まったくスルーしていたっけ。

 漫画・劇画ですらその程度なのだ。

 これがわが祖国・にっぽんである。