『大和朝廷を震撼させた蝦夷・アテルイの戦い』を読んで
高橋克彦の『火怨』につづく読書の対象にえらんだのは久慈力著『大和朝廷を震撼させた蝦夷・アテルイの戦い』(批評社)である。帯に「自然とともに共生社会に生き,自然と人間を征服しようとする大和朝廷と戦ったエミシやアテルイの生き方に学ぶ,格好の入門書!」とあるので,蝦夷関連の文献をさがして勉強をはじめようという私にはきっと「格好の入門書」であろうと思って買ってみた。蝦夷(エミシ)シリーズ第二弾はコレでいってみようと。
正直いって,「入門書」にしては難解…。学のない私には読むのがなかなかしんどかった。蝦夷に象徴される日本の先住民についてのテキストかなと思ったら大間違い。そんな次元ではない。想像をはるかに上回る力作であるだけに,気合入れて読まないといかんかった。
まず本題に入る前にメモ代わりに書いておこう。のちのちの参考になることは確実なので。蝦夷をはじめとする弥生以前の日本の先住民,いわば縄文人,さらに言い換えれば“日本原人”を,本書から挙げておく(南方から)。これは日本や中国の史書をもとにしたという。
沖縄人(南西諸島 南方系)
阿麻美人(=あまみじん 南西諸島 南方系)
熊襲(=くまそ 南九州 南方系)
隼人(=はやと 南九州 インドネシア系)
安曇(=あぐも 北九州 インドシナ系)
肥人(=くまびと 西九州 南方系)
国楢(=くず 四国 畿内大和から関東 土蜘蛛と同族か)
佐伯(北陸から関東)
土蜘蛛(=つちぐも 関東から西日本 ツングース系ウイルタか)
八束脛(=やつかはぎ 関東 土蜘蛛と同族か)
毛人(=えみし 東日本 苗族系とオロチョン族の混血か 蝦夷と一部同族か)
粛慎(=みしはせ 裏日本北部 ツングース系 エミシと重なるか)
労民(=ろうみん 東日本 オロチョン)
穢多(=えた 東日本 ウイルタの蔑称か)
渡島蝦夷 渡島狄(=おしまえびす 青森から北海道にかけてのアイヌか)
日の本(千島列島 コロポックル)
あくまで「大きくいえば」とのことだが,よくもまあこれだけの先住民がわが祖国にいたものだなあ……。
拙ブログにはカウンターをつけてないので,どれだけの方々が閲覧してくださっているかまったくわからないけれど,みなさんの住まいやルーツが上記のどれかに該当していれば,それがあなたの,はるか遠い祖先ということになるでしょう。たとえばあなたの祖先が代々関東在住であれば「土蜘蛛」が祖先となりますね。私の出身は東北の秋田=東日本だから,蝦夷(えみし)が遠い祖先となるように。
しかしそれらは,いまはほとんど消え去った。名称としては,だけれど。消え去ったというか殲滅されたというのが事実だろう。侵略され懐柔され淘汰され…いまも純粋に残っているのは北海道アイヌくらいだろうか。
ただ,わが蝦夷にしても単一ではなく,陸奥蝦夷や津刈蝦夷・北狄・麁蝦夷(あらえみし)・熟蝦夷(にぎえみし)などなど,いくつも種類があったというのである。たんに蝦夷といっても,蝦夷にもいろいろいたというわけか……。
さて,では本題に入る。
これほどまで念入りな資料をもとにつづられた本書は,先に書いたように私が扱うには相当にきつい集大成であり,読み終わったいまでも中身の2割程度しか頭に入っていないけれど,印象深かった点をいくつかあげてみると――。
日本国史に残る日本の支配層のほとんどすべては,ごく簡潔的に述べるなら,ユダヤを起源とする侵略民族の本流・亜流・分派が,シルクロードなりさまざまなルートを伝って,日本列島へたどり着いて原住民(つまりわが祖先)を攻め滅ぼした侵略者だった,という事実。
天皇・大和朝廷・秦王国・物部・蘇我etc…歴史にのこる豪族のほぼすべてが,渡来系の異国人を始祖にいただいているとは。天皇が朝鮮にルーツがあることくらいは知っていたけれど。
縄文人らわが遠い遠い祖先が自由を謳歌していたこの美しい国に,ある日突然,外国人が大挙してやってくる。先住の縄文人(祖先)を未開人・野蛮人とみなし,その存在を汚らわしいものと決め付け,迫害し,殺戮し,または奴隷にして使役し,自分らの理想とする国家づくりを開始する。
わが祖先は外国人の奴隷だったのか。大多数の日本人の祖先が,ユダヤあたりから出張ってきたインテリの奴隷であったと。その外国人の末裔というか,近い子孫が天皇であり,公家であり,鎮守府だの将軍だのになった。祖国の先住民,すなわちわれわれの祖先はあくまでヤツらの奴隷でしかなかったのですな。
つまり,いまの日本人の圧倒的多数が,奴隷の子孫であるという理屈ですな。
これは笑える。マジで笑える。
まあ読み終わったばかりでして,ひとまず考えを整理しないと的確な感想を書けない恐れがあるので,きょうはここまで…。